「気付き」は一見すると、重要性がない動作のように思えます。しかし、自分自身や仕事の向上においては、必要不可欠なものなのです。問題点や欠点に気付きがなければ、反省することはありません。
反省がなければ、発展することはできません。人間関係がうまくいかない、会社の売上が上向かない、そういったよくない状況を作り出しているのも、失敗して「あのとき、ああすればよかった」という後悔も、気付きの不足から生じるものと言えるでしょう。
そういう意味で、気付きは重要になってくるのです。また、気付きは簡単な動作のようにも思えますが、実際は難しいものです。私たちの多くは、気付くべきところに普段気付いていません。したがって、気付きの重要性を認識するとともに、どうすれば気付きを増やすことができるかを考える必要があります。
毎日の気付きを増やして
見える世界を広げる7つの方法
まずは積極的な姿勢をもつ
気付きを増やすための基本姿勢は、物事に対して積極的な姿勢をもつことです。もう少し詳しくいえば、ただ受身的に事の成り行きを見たり、他人から言われたことを聞いたりせず、ちょっとしたことでもそのことに関心を寄せ、考えるようにすることです。気付きは「発見」でもあります。しかし、何かを発見するためには、くり返しが欠かせません。
これまで、科学の進歩に貢献した偉大な発見は、試行錯誤と熟考がもたらしたものです。何度失敗してもくり返し、「ああでもない、こうでもない」と様々考えながら、偉大な発見にたどり着いたのです。偉大な発見まではいかなくとも、気付きを増やすためには、それと同様の姿勢が不可欠です。日常生活や会社での環境や事象に注意し、それについて様々に自分で考えたり、繰り返したりする習慣をつけましょう。
観察する
気付きを増やすための有効手段のひとつが観察です。私たちは、普段見慣れないものや注意が必要と判断された事柄に対しては、観察しようとする意志がはたらきます。しかし、当たり前、日常的なことに対しては、積極的な観察がおろかになりがちです。
それが、問題を生じさせる原因になることも多々あります。ですから、その当たり前のことを積極的に観察することも重要です。たとえば、オフィスや店舗における環境とお客様との適合性を観察します。気温、照明明るさ、振動、騒音などが適正かつ、快適に保たれているかなどを確認したり、注目したりするのです。
店舗では、商品の陳列の仕方がお客様にとってわかりやすいものになっているか、手に取りやすくなっているかなどを観るようにします。その他、お客様が機械を頻繁に扱う場所では、お客様と機械との適合が正しいかどうかなどを注意深く観察します。そういった、当たり前で日常的なことにも目を向けて、じっくり観察することが重要です。
問いかける
「問いかける」といっても、他人ではなく、自分自身にすることをさします。管理職に就いている方には特に必要なことです。「今日の仕事の達成度はどのくらいか」「部下やお客様に対して適切に対応できたか」「自分の直すべき点は何か」「どんなことが不足だったか」などを、業務終了後に点検するのです。
自分自身への問いかけによって、見えなかったところが見えてくる、つまり気付きが生じるようになります。そして、問題点の改善や業務の効率化、士気の向上へとつながっていきます。この方法は、自分自身を高めるためにも使えます。
1日の行動を振り返って、「家族のために何ができたか」「改めるべき行為は何か」「何を学んだか」などと問いかけていくことで自分自身に気付き、それが性格の改善に役立ちます。性格が改善されれば、その分人から愛される要素が増えていきます。
多角的に物事を見る
多角的な視点をもたず、頑固に固定観念を持ち続けると支障が生じることがあります。「薬は病気を治すものだ」という固定観念に縛られて、毎日欠かさず薬を飲み続けていると、その副作用で苦しむ結果になったという話しはよく聞かれます。
固定観念は必ずしも正しいとは限りません。間違った固定観念をもっていたら、気付きが生じることもなく、おそらく問題の解決への糸口も見つからないでしょう。多角的な見方を身につけるためには、固定観念を捨てることも重要です。これまで当たり前だと思ってきたことに疑問を抱き、様々な視点や立場から見るようにするのです。
そうすることで柔軟な考え方が次第に出来上がって、気付きも増えるでしょう。また、多角的な視点がもてない人は、頑固で負けず嫌いの性格であることが多いようです。その性格は時として有用ですが、気付きを増やすためには障害となります。もし、あなたがそのような性格の持ち主であったら、少しでも改めるようにしましょう。
先入観を捨てる
先入観とは、これまでの知識や経験によって決まりきった考えをもつことを言います。先入観のすべてが悪いわけではありませんが、これも気付きを増やすためには不利になります。先入観をもつと、新たな考え方の取り込みが阻まれます。それはつまり、気付きが阻害されるということです。特に問題になるのは、マイナスの感情を生み出す先入観です。
たとえば、パソコンが苦手な人にエクセルを使わせようとしても、「難しくてできそうもないからやりたくない」という消極的な感情がまず起こります。そしてやるのを断ったら、もうその時点で気付きが生じる機会が失われます。先入観によって消極的になる前に、まずはトライしてみましょう。やってみると、意外にも楽しかったとか、できたということもよくあります。そこから、新たな気付きが生まれてくる可能性もでてきます。
少しの変化も見逃さない
物事はちょっとしたことで、大きく変化することがあります。その変化は良い方向に向かうものもあれば、悪い方向に向かうものもあります。ほんのわずかな異常が、致命的なダメージを与えるまでに発展するケースも決して少なくありません。
それを防ぐためには、少しの変化も見逃さない力が必要です。正確にいえば、少しの変化にも気づくということです。私たちは大きな変化には気付きますが、小さな変化には気付かないことがあります。むしろ多いかもしれません。
ですから、小さな変化に気付くには、意識的に気づくよう工夫する必要があります。人の変化は特に重要でしょう。それを見逃して何も対処しなければ、問題がどんどん膨らんでくるおそれもあります。人の言動や行動を日ごろからつぶさに注目して、小さな変化でも気付くようにしましょう。
知識を増やす
知識を増やすことと、気付きを増やすこととは直接にはつながりません。しかし、様々な知識をもつことで、前に述べた、物事を多角的に見る力や先入観をもたずに考える力がついてきます。その力が気付きを増やしていくのです。
今は情報化社会で、様々な手段で多くの情報を簡単に、早く手に入れることができます。しかし、残念ながら、ウソの情報も多く出回っています。そのような情報を手に入れ、知識として獲得しても、気付きを増やす力にはならないでしょう。
むしろ、悪い結果を導いてしまいます。ですから、情報を手に入れた段階で、それが真実であるかどうか確認する必要があります。そうやっていきながら、知識を増やすことも大切です。最も確実に知識を増やす方法は、自分でメモをとることです。見聞したことをすぐにメモを取ることで記録に残せておけますし、それをあとで見返して知識とすることができます。
いかがでしたでしょうか。
日常生活でも仕事でも、気付きは人や物事を発展させてくれます。気付きによって成功した人も大勢います。さらに、問題や改善点に気付くことによって、あらゆる生活をつつがないものにしたり、支障を防いだりもできます。
それほどまでに、気付きは人間生活において重要なものなのです。ここで紹介した気付きを増やす方法は、決して難しいものではありません。すぐに実行できるものです。今よりもっと自分を進歩させたい、問題を解決に導きたいと思っている方は、いますぐ実行してみてください。
まとめ
毎日の気付きを増やして見える世界を広げる7つの方法
・まずは積極的な姿勢をもつ
・観察する
・問いかける
・多角的に物事を見る
・先入観を捨てる
・少しの変化も見逃さない
・知識を増やす