ゲシュタルト心理学から今ここにある自分に気づく方法

ゲシュタルト心理学から今ここにある自分に気づく方法

「ゲシュタルト心理学」という言葉をみなさんはご存知でしょうか?「ゲシュタルト崩壊」「ゲシュタルトの祈り」などという派生言葉があるため、名前くらいは聞いたことがあるという人も多いでしょう。ゲシュタルト心理学とは人間の精神を全体や構造として捕らえる心理学の一学派であり、20世紀初頭に提唱され、今なお心理学に大きな影響を与えている考え方として有名です。

この記事ではそんなゲシュタルト心理学の概要をご興味あるみなさまに紹介していくとともに、その内容から見えてくる今ここにある自分に気づく方法を簡単にご紹介いたします。みなさんの心の謎についてのご理解が、少しでも進めば幸いです!



 

ゲシュタルト心理学から
今ここにある自分に気づく方法

 

ゲシュタルトとは、全体性を持つまとまりのある構造のこと


ゲシュタルトとは、それ自体には意味のないような一つ一つのパーツが集まって全体を構成している類のものの性質のことを言います。例えば、「体」という一つの文字。これは「イ」という文字と「本」という文字。

さらには合計七本に分解できる「ー」の線が集まって構成され、「からだ」という意味を作っている構成物です。一つ一つの「ー」の線に意味はなくとも、それらが寄り集まることで全体としての意味を認識させる「体」という文字。そういったものが、「ゲシュタルトの性質を持つもの」ということになります。

 

「ゲシュタルト崩壊」とは?


それでは、よく言われる「ゲシュタルト崩壊」とは何なのでしょう?「ゲシュタルト崩壊」とは、上に書いたような全体の構成物質を長時間認識し続けることで、全体の構成が崩壊(して認識されてしまう)現象のことです。

例えば、「体」という文字を長時間見続けていると、「イ」の部分や「本」の部分に意識が集中し、全体の文字のバランスが崩れたように感じ、この文字がこの文字で合っているのか確信が持てなくなってくる……。そういった現象のことを、ゲシュタルト崩壊と呼びます。

 

個々ではなく、全体を重視する


ゲシュタルト心理学は、音楽の例でもよく説明されます。音楽というのは、それ自体は単調な「ド」とか「ファ」とかいう一音で構成され、それ自体には何の心地よさも流麗さもありません。しかし、それらが数十数百と重なって出来た音楽には、人に快感や感動を与える力があります。これらのことから、全体とは単なる個々の寄り集まりではなく、それ自体が何らかの特徴を持つものである、と考えられるのです。

 

人間の心理も、構成物質だけでは説明できない


それでは、この理論が、人間の心理に何の説明を与えてくれるのでしょうか。一言で言ってしまえば、人間の心理は構成要素だけでは説明できない、と言うことになります。それまでの心理学では、精神現象は個々の感覚的な要素の集合から成るという要素心理学が主流でしたが、そのような一つ一つの感覚だけでは理解され得ない領域があるとして、この心理学が提唱されたのです。

 

ゲシュタルト心理学から分かる日常のあれこれ


それでは、このゲシュタルト心理学を日常の卑俗な例に置き換えてみるとどのようなことが伺えてくるのでしょう。例えば、今の自分の心の状態や気分。普通の場合、人は、これこれがあったから自分は今このような気分なのだ、とか、このような事件を見て、自分は今このような気分になったのだ、と、原因と結果をそのままつなげて考えがちです。

しかし実際にはそうではなく、それ以前のもっと長期的な体の調子や物思いなどに心の状態が左右されているのだ、という考え方も可能であり、そのような考え方もゲシュタルト心理学の一例なのです。

 

今、ここにある自分とは?


ゲシュタルト心理学は、個々の要素だけではなく、全体のまとまりとしての人の心理を考えます。直前に起きた物事や事件、感覚だけなのではなく、それらの影響全て含めた自分の心というものがあり、その心が今の自分の状態を総合的に作っているのだ、ということです。自分の心は、全体として理解されるべきで、個々の原因や要素では捉えきれません。

 

今ここにある自分に気づく方法


例えば、何か悲しい気分や感覚に襲われた時、人はすぐに何かしらの原因を探しがちです。しかし本来はそうなのではなく、自分が悲しい気分になっているのは、自分の精神そのものが悲しい状態にあるのだと捉え、原因を無理に探さずその状態の自分をそのまま受け入れることも出来ます。そういった考え方で、今、ここにある自分にそのまま気づくことも出来るのです。

 

さて、ここまでの文章の中でゲシュタルト心理学の簡単な説明と、そこからわかることについての卑近な例をいくつかご紹介してきました。心の状態や気分に無理な理由をつけて自分を納得させるよりも、今の状態をあるがままに受け入れていく方が楽な場合や自然な場合というのは、多々あります。

もしみなさんが何か不意に違和感のある気分や悲しい思いに陥ったときは、そういった考え方を少し思い出してみるのもいいのではないでしょうか。

 

まとめ

ゲシュタルト心理学から今ここにある自分に気づく方法

・ゲシュタルトとは、全体性を持つまとまりのある構造のこと
・「ゲシュタルト崩壊」とは?
・個々ではなく、全体を重視する
・人間の心理も、構成物質だけでは説明できない
・ゲシュタルト心理学から分かる日常のあれこれ
・今、ここにある自分とは?
・今ここにある自分に気づく方法