起業したら、社長と呼ばれて・・あ、そうだ、従業員も雇わなくっちゃ、それでうまくいったら、店を構えて・・。出勤中の電車の中、頭の中でどんどん妄想が広がっていきます。起業に踏み切る理由は、「俺はもともと人に雇われて働くタイプじゃないんだ」と野望型の人。
再就職先がなかなか決まらなくて、いっそのこと起業しちゃえと考える人。こっそりやっていた副業がうまく行って、そっちが本業になりそうな、なし崩し型の人などさまざまですがよく考えてやらないと失敗したら今までみたいに、減給とか上司に怒られるぐらいじゃ済みません。
そこで今回は、スムーズに独立するために必要な準備をご紹介していきますが、あせらず時間をかけて取り組んでください。あなたの起業の成功を目指して。
起業に失敗せずスムーズに
独立するために必要な7つの準備
経営者としての資質を自己分析しましょう
なんのスキルもなしで起業し、成功する人もいれば弁護士資格を取得して弁護士事務所を立ち上げ失敗する人もいます。キャリアやスキルと経営は別物。トップに立って成功する人もいれば、トップを盛り立てて能力を発揮できる人もいるのです。
解りやすく言えばトップに立つ人は現状だけでは満足できず、常に新しいことを考えるのが好きな人、盛り立て役の人は目の前の仕事を確実にこなし成果を出すことで、仕事の充実感を得るタイプなのです。あなたはどちらのタイプに近いですか?
もちろん、経営者の資質はこればかりではありませんが、起業するかしないかに迷った時はぜひ参考にしてください。会社は一度立ち上げたら、未来に向かって前進するのみ。もちろん安定経営はとても大切ですが、現状に満足するようでは家族や従業員を乗せた船は大海の真ん中で止まってしまいます。
体力と気力を充実させておきましょう
今現在朝は何時出勤ですか、8時?終業は残業を除けば基本的に夕方5時ですよね。つまり9時間拘束8時間労働。しかも土曜日は半ドンか休み、日祭日は当然休みです。ですが起業したら、そんなことは到底できません。
最初から従業員を何人か雇うつもりなら別ですが、起業した当初は、営業回り、商談、受注、生産、納品その全ての責任がのしかかってきます。ですから、気力と体力は絶対必要です。もしも起業しようと考えるなら、今のうちから体力と気力を温存しておいてください。持病がある場合は完全に治しておいた方がいいですね。社長に休業補償はなかなか出ませんよ。
まずは事業計画書を作ってみましょう
これまで申し上げた条件をクリアできそうであれば、いよいよ本格的に準備を始めましょう。事業計画書は本来であれば、銀行や投資家から資金調達をしたい時に使う書類ですが、今回は自分の考えている事業が本当に通用するのか、計画に落ちはないのか、修正すべき点はないかなどを客観的に把握するために使ってみることにしましょう。
まずは事業内容として、目標とする事業開始の日付、それにどこで何を、どんな方法で売るのかを確認します。次は会社概要です。設立する会社の場所や従業員数、営業方針、取扱商品の特徴、その商品が社会的にどんなメリットを生み出すのか、また会社が成長できる可能性などを書き出します。もしあなたが投資家だとすると、その会社に魅力を感じますか?また機会があれば経営コンサルタントに意見を聞いてみてはいかがでしょうか。
軍資金をためておく
開業当初はひたすら営業で受注に走り回り、お金が入金されるのは、うまくいっても納品から1、2ヶ月先です。最悪の場合2ヶ月目でやっと受注に漕ぎ着け、初入金は開業から4ヶ月目という場合もあるかも知れません。
ですから、ぎりぎりの予算で起業するのは大変危険です。予測される仕入れ代金、家賃や光熱費、人件費、交通費を計算して少なくとも半年間は収入なしで食べていけるぐらいのお金の余裕が欲しいですね。
計算して自己資金では足りそうにない場合は、開業を先延ばしにするか、国民生活金融公庫、または信用保証協会の信用保証付き貸し付けを利用する方法がありますが、例えば開業資金で1000万円必要であれば、せめて半分の500万円は自己資金で運用されることをお勧めします。
他にも返済の義務がない国の開業助成金という制度もありますが、手続きが複雑なので中小企業診断士、行政書士に相談してください。興味のある方は厚生労働省の「これからビジネスを始めようとしている方へ」をご覧ください。
厚生労働省HP
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/kigyou.html
開業に必要な知識を身に付けておく
例えば青色申告と白色申告の違いって解りますか?確定申告って何?特に会社員しかやったことのない人はこれまで会社が代わりにやってくれていたので解りませんよね。ですが今度はあなたが社長です。
給料計算の仕方は?毎月の所得税はどれぐらい預かればいいの?会社の経理の基本的な流れや売上管理、現金出納帳の書き方も知っておく必要があります。これだけ書いても大変そうなのに、いざ起業すると、まだまだたくさん出てきますよ。
ただでさえ開業当初は営業で忙しいので、こんなじっくり覚えなくてはいけないことをやっている暇は絶対にありません!(筆者経験談)今は経理代行サービスの会社もいっぱいありますが、それでは会社を設立して利益を生み出すまでの仕組みが実感できません。将来会社を伸ばして行きたいとお考えなら、ぜひこの辺は押さえておきましょう。
経費を抑えて最小限の営業形態でスタートする
自分自身の思い込みと人のクライアントの意見は違います。自分では絶対売れると思い込んでいる商品が売れないことは当然あると考えてください。ですから最初っから大風呂敷を広げないことです。まずは試しに釣竿を一本投げてみるのです。
そしてお魚さんがどういう反応を示すか観察します。この作業は職種によっては開業前でもできると思いますよ。例えばインターネットショップやブログを立ち上げて商品の反応を確かめてみるとか、IT関連なら自分でプログラムを組んでネットで販売してみるなどといった方法です。とにかく最初は経費を抑えて、きれいな事務所を借りたり営業車を買ったりしないように。それは、売れると確信した後でも遅くありません。
家族の理解を得ておく
国民生活金融公庫や銀行に事業資金のお願いに行った時、必ず窓口で聞かれるのが「ご家族の方はご存知ですか?」または「理解は得られてますか?」という質問です。それほど、起業にあたって家族の理解は重要なのです。
夫または妻は起業に夢中になっていますが、相手はこれまで通りの安定を望んでいるかも知れないのです。それは暴走としか受け取れません。それでも、会社の調子がいい時はまだしも、壁にぶつかって思ったような収益が得られなかった時が問題です。
家庭内のゴタゴタで仕事に身が入らず、その事業は十中八九失敗します。そんな事例を融資する側はたくさん見てきたんでしょうね。ですから、起業を考えたらまず家族に相談することをお勧めします。
いかがでしたでしょうか。
起業する前はあれもやろう、こんなこともしてみたいとたくさん夢が膨らみますが準備を怠ると、その夢が本当に夢で終わってしまいそうですね。そしてその夢から覚めた時には大変な苦労が待ち構えています。
起業に失敗しないためには、まず自分の経営者としての資質を見極め体力をつけておくこと、そして周到な準備と起業に必要な知識の習得、さらに家族の理解と協力が必要です。それと、自分で事業計画書を書いてみて、「ちょっとどうかなあ」と感じたら、勇気ある撤退をしてください。
そしてゆっくり新しいアイデアを探してみるのです。「起業する」その言葉はとても魅力的ですが、人生がひっくり返ってしまう可能性を含んだ言葉でもあります。ですからことは慎重に、かつ大胆に進めてください。ご成功をお祈りしています。
まとめ
起業に失敗せずスムーズに独立するために必要な7つの準備
・経営者としての資質を自己分析しましょう
・体力と気力を充実させておきましょう
・まずは事業計画書を作ってみましょう
・軍資金をためておく
・開業に必要な知識を身に付けておく
・経費を抑えて最小限の営業形態でスタートする
・家族の理解を得ておく