起業という単語は今や一般人にとって身近なものとなりました。昔は起業と言えばお金持ちの特権というイメージが強いものでしたが、昨今では1円起業という言葉が世間に浸透するほど起業に対してのハードルが低くなっています。
会社に勤めているとできないようなことや、会社内の面倒な人間関係、しがらみなどが自分で起業すれば解決するのであれば起業してみたいという方も少なくないのではないでしょうか。
しかし当然、起業するにあたってしなければならないことはたくさんあります。それに起業はメリットばかりではありません。色々なしがらみから抜け出せる一方で、デメリットも多く存在します。昔ほど起業する際に金銭は必要なくなってはいますが、もちろんお金はあるに越したことはありませんし、お金以外の面でも知っておかなければならないことはたくさんあります。
これから起業しようと考えているあなたはもちろん、すでに起業したというあなたや、しばらくは会社勤めで構わないというあなたも、一度起業について考えてみてはいかがでしょうか。それでは、起業することで得られるメリット・デメリットをお伝えします。
起業することで得られる
メリット・デメリット!
法人の方が信頼を得やすい
まず一番初めはメリットからからご紹介しましょう。起業することで得られるメリットその一は、取引先からの信頼を得やすいということです。個人事業主が増えた現在であっても個人相手では取引をしないという会社が数多く存在しています。
例えば銀行なんかの借り入れは法人の方が個人事業主よりもしやすかったりしますよね?それと同じで個人よりも法人として登記していた方が信頼されやすい場合が多いものです。営業時に相手に与える印象も、起業していない一個人よりも法人の方がよいですよね。このことからも、個人より法人の方が事業に対する信頼を得やすいと考えられます。
赤字でも税金を払わなければならない
上記ではまず起業にあたってのメリットをご紹介しました。それでは次に起業するにあたってのデメリットの一つをお伝えします。実は法人になってしまうと、赤字でも払わなければならない税金と言うものが存在するのです。
法人化すると当然ですが法人として毎年税務申告を行いますよね。その税務申告の際に、その年の実績が赤字であっても支払わなければならない税金というものがあるのです。法人住民税の均等割です。
法人住民税の均等割で調べるとすぐに出てくるので全く知らないまま起業する方もそうそういないでしょうが、ここで一応お教えしますと、法人都道府県民税均等割として2万円、法人市町村民税均等割として5万円が毎年課せられます。毎年最低7万円はかかると思っておきましょう。
節税面でメリットが大きい
上記では赤字の場合でも払わなければならない税金があるというデメリットをお伝えしました。ですがそもそも、起業するからには赤字ではなく黒字を出すこと前提で起業しているはずですよね。
絶対に黒字を出すという自信の元、起業するあなたにとっては、むしろ節税面でのメリットが大きいかもしれません。というのも、所得税と法人税の税率の差が大きく影響してくるのです。
累進課税の意味はご存知でしょうか。所得に応じて多く税金を納めなければならなくなる制度で、所得が増えれば増えるほどそれに比例して税率が高くなっていく方式です。個人事業は累進課税方式のため、多く稼げば稼ぐほど税金を取られるというわけですね。
法人税の課税方法ははといえば、累進課税とはまた別です。そのため、法人にした方が節税の面では有利になるラインがあります。詳細な計算は省きますが、だいたい年間の所得が500万円を超える場合、起業して法人化した方が節税になる可能性が高いです。
さらに法人化すると経費の幅が増えます。生命保険や自宅兼事務所も経費として認められますし、法人で使用する自動車や雇っていた方が辞める際の退職金も経費に成り得ます。
社会保険への加入が義務づけられる
起業して法人化すると健康保険と厚生年金保険への加入が義務づけられることはご存知でしょうか。このことをメリットと取るかデメリットととるかは人によって違うでしょうが、知識として知っておいた方がいい情報ですね。
あえてデメリットとして紹介するなら、やはり金銭的な面で負担が増えると言ったところでしょうか。法人として健康保険と厚生年金保険へ加入すると、個人として加入する場合と比較して保険料が国民健康保険と国民年金に比べて高額になるのです。
金額は給与額に応じて決まり、ほぼ給与額に比例します。さらに、この保険料は会社と雇われている方本人が折半する形になります。ということは従業員が増えれば増える程、会社としての負担は大きくなっていくことになります。つまり起業して法人化すると保険料の負担が大きくなるというデメリットがあるといえるかもしれませんね。
融資や資金調達、取引先、採用の幅が広がる
最初にご紹介したように、個人と比べきちんと起業し法人として成立している会社には信頼を得やすい部分があります。いくら1円起業などといった言葉がよく使われるようになったからといって、法人化するのはやはり面倒な手続きが必要になります。市役所で今から法人化しますと宣言して1円を手渡せばいいというものではありません。
煩雑な手続きを経て起業してこそ信頼が得られるのです。とくに今現在取引先が法人ばかりであるという事業をする場合、やはり法人の方が可能性が広いと言えるでしょう。
個人法人の差別があるわけではありませんが、個人に対する理解が深まる一方でやはり個人ではなく法人としか取引をしないという法人も多くあります。それは安心感や今まで築き上げてきた信頼があることを考えると当たり前のことです。このことから、取引先の広がりを考えた場合は法人の方が有利であるといえるでしょう。
働く人にとっても、個人事業よりも法人の方が安心感を与えます。そのため個人事業として人材を募るよりも法人の方が人材を呼び込みやすくなります。つまり採用もしやすくなるというわけですね。
起業することで覚悟が生まれる
最後に、最も大きなメリットをお伝えしておきます。起業し、法人を設立する。これは事業をしっかりと行うという自分自身や周りに対しての意思表示になります。
先ほどから1円起業という単語を何度か使用していますが、実際法人化するにあたっては数十万の費用が掛かることが殆どです。それだけの資金を調達し起業するにあたっては、やはり覚悟が必要になりますよね。起業すれば必ず多くの課題にぶつかるでしょうし、様々な苦難を乗り越える必要もあるでしょう。最初からすべてうまくいくということはあり得ません。
ですが苦難を乗り越える覚悟を決めてこその起業です。そうした覚悟が出来る事が一番の法人化のメリットであるといえるのかもしれません。
いかがでしたか。人生は一度切り。たった一度の人生だからこそ、挑戦したいと思ったことには積極的に挑戦していく姿勢は大事です。
自分の一つの挑戦として起業を選ぶのは素晴らしいことです。しかしそこにあるメリットばかりを見てデメリットを考えないまま起業すると大きな落とし穴に落ちてしまう可能性もあります。また逆にデメリットばかりに注目してメリットを考えずに保身に走ってしまうのも、とても勿体ないことです。せっかく挑戦できる環境にいるのに、守りに入ってしまう必要はありません。
一番大事なのは、メリットデメリットを両方知ったうえで自分の後悔することのないように決断するということではないでしょうか。あなたの起業に関して、少しでも参考になれば幸いです。
まとめ
起業することで得られるメリット・デメリット!
・法人の方が信頼を得やすい
・赤字でも税金を払わなければならない
・節税面でメリットが大きい
・社会保険への加入が義務付けられる
・融資や資金調達、取引先、採用の幅が広がる
・起業することで覚悟が生まれる